相続を“スムーズに終わらせる人”がやっている準備とは？トラブルを防ぐための5つのステップ

相続を“スムーズに終わらせる人”がやっている準備とは？
トラブルを防ぐための5つのステップ

はじめに：相続は「起きてから」では遅い時代に

「まだ元気だから、相続の話は早いかな」
そう考えて後回しにしてしまう方は少なくありません。

しかし、2025年4月から始まる相続登記の義務化をはじめ、今の時代は“相続が起きてから動く”では間に合わないケースが増えています。
特に、親が認知症を発症したり、相続人同士の関係が複雑になったりすると、登記・売却・遺産分割などが一切進まなくなることも。

この記事では、「争族」にならないために今からできる5つの準備を、司法書士・行政書士・不動産の専門家の視点からわかりやすく解説します。

1. 財産の“棚卸し”をしておく：何を相続するのかを明確に

相続をスムーズに進める第一歩は、「財産の全体像を把握する」ことです。
親が元気なうちに一緒に確認しておくと、相続開始後の混乱を大きく減らせます。

確認すべき主な項目は以下の通りです👇

不動産（土地・建物・農地など） 　

登記簿謄本を取り寄せ、所有者名義・地目・面積・持分割合などを確認しましょう。 　
特に「親名義のまま」「登記が古いまま」「未登記の建物がある」といった状態を放置しておくと、 　
いざ相続の際に登記手続きができず、売却・分筆・担保設定などがストップしてしまうケースが多発しています。

預貯金・株式・保険 　

通帳や証券、保険証券などを一覧化し、口座名義や契約者名を整理します。 　
銀行口座は死亡届提出後に凍結されるため、事前に残高や支店情報をまとめておくことが重要です。

借入金・ローンなどの負債 　

相続は「プラスの財産」だけでなく、「借金」も引き継がれる点に注意が必要です。 　
住宅ローン・事業資金・クレジット債務など、債務関係の資料も確認しておきましょう。 　
負債が多い場合には、相続放棄や限定承認といった法的手段を検討する選択肢もあります。

動産（車・有価証券・貴金属・美術品など） 　

形として残る資産も、評価額を把握しておくことで、後の分割協議がスムーズになります。

こうした財産を整理することで、「誰が・何を・どれだけ相続するか」という判断が明確になり、
後々のトラブル防止につながります。特に不動産を複数所有している場合は、
相続登記や測量の必要性、売却の可能性なども専門家と一緒に確認しておくと安心です。

2. 相続人の関係を整理する：戸籍と家系図の準備

相続をめぐるトラブルの多くは、「相続人の範囲があいまいなまま話し合いを始めてしまう」ことが原因です。

特に近年は、再婚・養子縁組・前妻（夫）の子・異母兄弟など、家族構成が複雑化しており、
「自分が相続人だと思っていた人が実は違った」
「知らない兄弟が相続権を主張してきた」
というケースも少なくありません。

こうした混乱を防ぐために、相続発生前から以下の準備をしておくことが重要です👇

• 被相続人（親など）の戸籍を出生から現在までそろえる 　
  戸籍は「誰と誰が親子関係にあるのか」を法的に証明する唯一の書類です。 　
  出生から現在までの戸籍（除籍・改製原戸籍を含む）を取得することで、 　
  結婚・離婚・養子縁組などの履歴を正確に確認できます。
• 相続人となる家族の戸籍を確認する 　
  特に再婚家庭や養子縁組がある場合は、相続人の範囲が複雑になります。 　
  「誰が第1順位の相続人に該当するのか」「代襲相続（孫・甥・姪など）があるか」など、 　
  法的な確認をしておくことが欠かせません。
• 簡易的な家系図を作成して整理しておく 　
  戸籍をもとに、相続関係を図でまとめることで、一目で全体像を把握できます。 　
  家系図があると、相続人同士の関係を説明する際や、遺産分割協議を進めるときにも役立ちます。

このような準備をしておけば、相続発生後の「戸籍収集に何週間もかかる」「誰が相続人か分からない」といったタイムロスを防げます。
また、戸籍の取り寄せは役所窓口だけでなく、郵送請求や専門家による代行取得も可能です。
特に相続人が全国に散らばっている場合は、司法書士や行政書士に依頼して一括取得してもらうと効率的です。

3. 遺言書を作成する：トラブルを防ぐ最強の備え

「うちは仲が良いから大丈夫」
──そう思っていても、実際に相続が発生すると意見の食い違いが起こりやすいのが現実です。

その対策として最も効果的なのが遺言書の作成です。
遺言書には以下の3つの形式があります。

遺言の種類	特徴
自筆証書遺言	手軽に作成できるが、形式不備で無効になることも
公正証書遺言	公証役場で作成。法的効力が高く、安心度が高い
秘密証書遺言	内容を秘密にできるが、実務ではあまり使われない

最近は、法務局で保管できる「自筆証書遺言保管制度」も注目されています。

作成した遺言を正式に保管しておくことで、紛失や改ざんのリスクを防げます。

4. 認知症対策として「家族信託」や「任意後見」を検討

もしも将来的に親が認知症を発症すると、銀行口座の凍結や不動産の売却が一切できなくなります。

その備えとして近年注目されているのが、家族信託と任意後見制度です。

• 家族信託：信頼できる家族に財産の管理・運用を任せる制度
• 任意後見制度：判断能力が低下したときに、あらかじめ指定した代理人が財産管理を行う制度

どちらを選ぶかは、財産の種類や家族構成によって異なります。

専門家に相談して、自分たちに合った方法を設計しておくことが大切です。
早めに登記手続きと活用方法を見直し、司法書士や行政書士など専門家へ相談することが重要です。

5. 早めに専門家へ相談する：相続は“チーム戦”で解決する時代

相続は、法務・税務・不動産のすべてが関わる総合手続きです。
登記だけ、遺言だけ、と個別に進めてしまうと、思わぬ重複や手戻りが起こりがちです。

そのため、ワンストップで対応できる専門家チームに早めに相談することが、もっとも確実な方法です。
染谷綜合法務グループでは、

司法書士・行政書士・不動産の専門家が連携し、「相続発生前の準備」から「登記・売却・申告」まで一括でサポートしています。

• 相続登記の事前チェック
• 遺言・家族信託の設計
• 相続税・贈与税の試算
• 不動産の調査・評価

一人で悩まず、まずは相談で現状を整理しましょう。

まとめ：相続は“準備しておく人”が家族を守る

相続をスムーズに進めるための5つの準備をおさらいします👇

• 財産の棚卸しをしておく
• 相続人と家系関係を整理しておく
• 遺言書を作成してトラブルを防ぐ
• 認知症対策を考えておく
• 専門家チームに早めに相談する

これらの準備をしておくだけで、将来のトラブルや無駄な手続きを大幅に減らすことができます。
相続は「いつか」ではなく「今」準備する時代。
早めの一歩が、家族の絆と財産を守る最善の方法です。

染谷綜合法務グループのサポート

当グループでは、

• 法務チーム … 相続登記・不在者相続・遺産分割の手続き
• 不動産チーム … 登記後の売却や管理までワンストップ対応

を行っています。

「相続登記をどうすべきかわからない」段階からでもご相談可能 です。